場面はマタイ、マルコ、ルカの三福音書が伝える最後の晩餐を表す絵というよりも、今日、カトリック教会で行なわれる
感謝の祭儀(ミサ)を思わせる雰囲気である。食卓に向って立つイエスは、パンと杯を前に、右手をやや上げなが
ら深い祈りに入っておられる。イエスのを囲む弟子たちも祈っている。受難の前夜の不安と恐れの表情はない。
カトリック教会に入ると正面に祭壇がある。これが主の食卓である。ここで感謝の祭儀が捧げられる。日曜日、信
徒たちはこの主の食卓で食事をするために集まってくるのである。
愛する医者ルカ
ルカは、女性や病人、弱い者に暖かい眼差しを持っていたといわれる。伝えによると医者でもあったルカは、
イエスに倣って、町々、村々を廻り、福音を告げ、病人を癒し、死者を蘇えらせたという。その故事にちなんで
世界各国にルカの名をつけた医師や医学者の団体、病院、診療所がある。このステンドグラスは、医師木原倬郎氏の尽
力によってできたものである。病人に手をに伸べるルカの面影に、深い信仰と優しい眼差しをもって、苦しむ人々の傍
らにあり続けた先生の在りし日の姿が刻まれている。